住宅ローン控除は、原則として、10年以上の金融機関の分割返済の借入金残高に対して控除率を乗じて税額控除額を計算します。所得税額から控除しきれなかった税額控除額は住民税額から控除されます。給与所得者については年末調整で交付される源泉徴収票に特別控除可能額が記載されていることで限度額を確認することができ、会社が給与支払報告書を市町村に提出することで、特別控除可能額から所得税額控除額を差し引いた残額を住民税から差し引いて翌年の住民税額が決定されます。なお、住民税額から控除できる金額にも上限が定められています。
住宅ローン控除額は所得税額を控除し、住民税額を控除しても、まだ控除しきれなかった金額は還付されません。そのため、夫婦で住宅を購入する時点で持分割合と連帯債務割合を考慮することで税額控除を可能な限り適用できるように検討します。特に、産休や育休で所得が少なくなる場合には、所得税・住民税が少なくなり控除できない期間が出てくる点については考慮が必要です。
一方に持分割合を多くすることは財産が一方に偏る結果になりますので、その点についての想定も必要である場合(相続税対策・夫婦間の財産のバランスなど)があります。
令和4年1月1日以後に居住の用に供した場合について、改正が行われています。控除率が金利を上回ることで、住宅ローン控除の適用で余分に利得が得られる可能性がある点を問題視され、控除率の引き下げ(1.0%から0.7%へ)が行われました。控除期間は13年に変更されました。また、適用対象者の所得要件が3,000万円以下から2,000万円以下に引き下げられることになりました。床面積が40㎡以上50㎡未満(本来は50㎡以上)である新築住宅についても適用可能になりました(合計所得金額が1,000万円を超える年は適用不可)。